みかん農家からの本音。なぜ2024年産のみかんは高いの?

海南市下津町のみかん農家、北東宏文です。 毎年、みかんの収穫時期になると、皆さまのもとへ新鮮なみかんをお届けできることを楽しみにしています。

さて、2024年の冬はみかんが美味しいと評判ですが、同時に「今年はみかんが高いね」という声を多く耳にします。 そこで今回は、なぜ今期のみかんが高くなってしまったのか、その理由をお伝えしたいと思います。

朝日新聞の1月20日の社会面に掲載された記事はこちら ↓
https://www.asahi.com/articles/AST1L1GZWT1LUTIL01GM.html
記事にはなっていない部分も含めて、自分のスキル不足の面も恥を忍んで包み隠さず紹介したいと思います。

みかんの価格が高騰している背景

  • 不作で流通量が低下している

    今季(2024年産のみかん)のみかんが高騰した背景には、全国的な収穫量の低下によります。
    ※全農家に当てはまる状況ではありません。あくまでも私自身の事象を中心に紹介しており、私のスキル不足も大いに要因として含んでいます。

    自園では、早生みかん(年内流通のみかん)の収量は2023年比で65%(重量ベース)でした。数量ベースでは約20%程度でしょう。一樹当たりの果実数が減ると果実サイズが大きくなるため、品質の良いS~Mサイズが少なくなり、自園では3Lサイズや4Lサイズと言った大玉ばかりになってしまいました。
    収益の根幹となるS~Mサイズの収量は2023年比で10%と、非常に情けない状況となりました。
    全国的にも店頭によく並ぶS~Mサイズのみかんの極めて流通量が低いということになり、価格は高騰するということになっています。

    数量が少ないため価格が高騰していますが、結果的にみかん農家の収益としては例年を下回っているのが現状となっています。

    下津町特産の蔵出しみかんは、年明けから流通する普通温州みかん(晩生品種)ですが、こちらも想定よりも少ない傾向の様です。
    自園でも、早生品種ほどではありませんが若干収量が少なく、2023年比で90%(重量ベース)で、若干大玉傾向となっています。

  • 栽培・流通コストの増大

    円高、ロシア・ウクライナ危機、国内での原料の高騰により肥料代や農薬代、流通コストが増大しています。
    自園では肉カスを原料とした有機肥料を使用していますが、購入コストはこの数年で1.5倍に跳ね上がりました。化成肥料は2~3倍です。
    有機肥料の原料の肉カスは、精肉機器が優秀になり肉カス自体が少なくなったことはSDGsの観点からは喜ばしいのですが、国内の畜産業の衰退があり原料不足に陥っているようです。化成肥料・農薬の原料となる無機物・有機物は、海外からの輸入に頼っており原料高騰が起因しています。

    流通コストは皆さまが感じている通り、ガソリン代の高騰や配送業者の人材不足・人件費の上昇があります。あと段ボール代も数年前より30%程度増えています

    政府の円高対策、経済対策、外交努力よる世界秩序の平穏化を願うばかりです。

2024年産みかんが不作の要因は何か?

不作な現状にはいくつかの要因が考えられますので順を追って挙げていきます。

  • 花芽の不足(2023年の初夏の豪雨と冬場の過乾燥)

    実りのベースとなる春の開花状況として、想定よりも花芽が少ない状況でした。2023年12月~2024年1月の過乾燥(降雨量が極端に少ない)が一因と考えられています。
    重ねて、自園では2023年6月2日の線状降水帯による豪雨被害により、直前に施肥した夏肥が流亡してしまったのも一因と考えています。2023年度は表年で収量が多かったにもかかわらず、結果的に施肥量が少なくなってしまったのかもしれません。

  • 生理落果が想定以上に多かった(2024年6月の高温)

    春に開花して実を付けたみかんは、6月頃に生理落果として自分で実を落とします。この6月頃が高温であったために生理落下の量が想定よりも多かったことが一因と考えられています。

  • 夏季のカメムシによる被害拡大

    みかんを吸汁して被害を及ぼしました。昨年の暖冬により越冬したカメムシが多く、みかんのみならず多くの果樹が被害を受けました。カメムシは発見したタイミングで防除するしかありません。一度防除してもまた飛来して爆発することがあり、イタチごっことなるエリアもあります。
    カメムシに関するブログ → https://mikan-kitabun.com/controlcalendarjuly2024/

  • 2024年夏の記録的な猛暑と少ない降雨で日焼けみかんが多発

    観測史上最も暑かった8月でした。7月も第2位とのことで猛暑に見舞われ梅雨明けも早く、みかんの木もその影響を大きく受けました。高温による日焼けや、乾燥による生育不良など果樹にとっては厳しい環境でした。
    2024年8月の気温についてのブログ → https://mikan-kitabun.com/augusttemperature2024/

    酷暑により日焼け果が多発
  • 秋の長雨と11月まで続いた高温で品質低下と虫害・病気を招く

    みかんの品質において秋の長雨は品質低下を招きます。
    (味の低下)秋の長雨は、酸を低下させ糖度も下げてしまいます。
    (果実サイズの肥大秋までに狙ったサイズに仕上げてきたのに、想定以上に果実肥大を招いてしまい、消費者が好むS~Mサイズの収量が低下してしまいます。

    11月まで半袖で過ごせるほど高い気温も品質を低下します。
    (味の低下)高温は着色遅延を招きますがそれ以上に、果実の呼吸量を増加させ養分を消費してしまいます。せっかく果実に貯めた糖と酸を消費してしまうので品質低下を招きます。
    (収量の低下)温度が高いために虫や病気も招きます。夜蛾の大発生による吸汁被害、黒点病の発生などです。収穫直前の夜蛾による吸汁被害、流通量を低下させる大きな一因となっています。

    秋の長雨についてのブログ → https://mikan-kitabun.com/autumnrain-2/

まとめ

ここ数年の気候変動により、果樹自体に負担がかかっていることが要因です。
特に2023年、2024年と酷暑・暖冬【高い気温】と降雨量の偏重【極端に降ったり降らなかったり】は先輩農家たちが経験したことがない気象であり、想定を超える環境になってきているのです。

これに対応するには、
◎観察と適切な対応(情報収集とスキルアップ)
◎健全な土壌づくりと十分な施肥(コスト増)
◎灌水設備・防除設備などの拡充(設備投資)
◎気象条件に適した品種への改植(ゼロベースでの生産計画の見直し)
などが必要になってきていると考えます。

いずれにしても、かなりの技術革新と投資の必要性が迫られているのが現状です。

海南市下津町のみかんについて

さて、ここからは当農園のある海南市下津町のみかんについてお話させてください。

下津町は温暖な気候に恵まれ、みかん栽培に適した地域として知られています。特に、年明けから旬を迎える「蔵出しみかん」は、収穫後、貯蔵庫でじっくりと熟成させたもので、糖度が高く、濃厚な味わいが特徴です。

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みかんを食べるメリット

みかんは、ビタミンCが豊富に含まれており、喉の粘膜を潤したり美肌効果が期待できます。また、食物繊維も豊富なので、腸内環境を整える効果も。さらに、クエン酸が含まれているため、疲労回復にも役立ちます。

みかんの栄養について(西洋医学の観点) → https://mikan-kitabun.com/nutritionalcomponentsandhealthbenefits/

みかんの栄養について(東洋医学の観点) → https://mikan-kitabun.com/orientalmedicineandmandarins/

さいごに

今年の冬は、例年以上にみかんが高価になってしまいましたが、その背景には自然の厳しさ、そして経済状況といった様々な要因が複雑に絡み合っています。

それでも、私たちは美味しいみかんを皆さまにお届けしたいという思いで、日々栽培に取り組んでいます。

海南市下津町の蔵出しみかんは、太陽の光をたっぷり浴びて育った、甘くて美味しいみかんばかりです。この機会に、ぜひご賞味ください。

https://mikan-kitabun.net/

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