【みかん防除暦5月②】梅雨に入る前に≪カイガラムシ・アブラムシ・チャノキイロアザミウマ・黒点病・かいよう病≫

5月下旬になるとみかんの花も散り、幼果が顔を出して成長を感じ取れます

下津町では、白い花の風景と香りが薄らいできました

ただ、害虫の幼虫から成虫へと成長していきますし、雨を媒介とした病気や、病原菌の新梢への二次感染が発生するようにもなります

前回のブログでも記載した梅雨入り前の

  • 害虫:アブラムシ、カイガラムシ、チャノキイロアザミウマ
  • 細菌感染:黒点病、かいよう病

の防除が要となります

 

※今回は、ちょっと長めの記事となってしまいましたが、めっちゃ多くの気づきを得られましたので、最後の考察だけでもご覧くださいませ

※間違いがあればご指摘頂ければ幸甚です

 

害虫:アブラムシ、カイガラムシ、チャノキイロアザミウマ

アブラムシ(5月中旬が適期)

いくつか種類があり被害の特徴が夫々ですが、最も嫌なのは新梢が委縮して来年の実りが得られなくなる≫ことです

※今年の新梢に来年花が咲いて実りを得ることができます

特に成木になる前の小木は、樹の成長も遅くなってしまいます

 

ヤノネカイガラムシ(5月中下旬が適期)

貝殻(雌成虫)のように張り付き動き回るわけではないです

下の写真ではみかんに寄生いる写真ですが、葉裏に多く寄生し、高密度になると枝幹にも寄生します

ヤノネカイガラムシ

寄生されると葉が枯れたり、枝も枯れることもあります

果実に寄生されると、着色不良と生育不足に繋がります

見た目が悪くなりますし、枝が枯れるというのは本当に厄介です

 

チャノキイロアザミウマ(5月下旬から6月上中旬が適期)

青色で囲っているのがチャノキの傷です

枝と繋がっている部分とその反対側(果頂部)に、灰色のベターーっとした傷が付きます

赤い囲いは灰色かび病で、かさぶたの様なザラっとした傷となっています

青:チャノキイロアザミウマ  赤:灰色かび病
チャノキイロアザミウマ

なかなか見分けがつきにくいのですが、営農指導員のT氏による傷の特徴がわかりやすいです

今季冬の収穫と選別時にきちんと見分けて、園地ごとの来年の対処方法を検討したいと思います

 

防除:コルト顆粒水和剤

この3つの害虫にはこの1剤で対処ができます(マジ神!)

葉裏にヤノネカイガラムシが潜んでいるので、下からのアプローチで太い枝に沿って丁寧に散布をしています(手散布ならではのメリットです!)

今回は5月20日頃に散布しました

※ヤノネカイガラムシに対して当園の地区では10~15日が適期という助言もありましたが、チャノキイロアザミウマの被害が目立っていたので少しだけ下旬にずらしました

 

これは殺虫剤なので、細菌には効果はありませんので殺菌剤を混用します

下の写真にある組み合わせはOKなのですが、もう一つの殺菌剤の混用で一つ悩ましい事象が今回発生しました

コルト&ジマンダイセン

 

細菌感染:黒点病、かいよう病

黒点病(雨が影響するため落弁~秋まで発生リスクあり)

枯れ枝に潜む糸状菌が感染源で、雨により胞子が流れ出て飛散し感染します

著しく汚い傷になります

樹冠内にある枯れ枝からも感染するので困ったものです

黒点病

防除:ジマンダイセン(降雨量または30日後に再散布)

積算降雨量を計測しつつ、降雨量が200㎜~250㎜に達したとき、または30日後に散布していきます

去年は初回5月24日の後、線状降水帯(6月2日)により一日で400㎜降ったので、大慌てで2回目を6月6日に散布しました

 

かいよう病(新梢の芽吹く頃と展葉期、台風などの強風時にリスク)

カンキツかいよう病菌による感染症

コルク状の斑点が特徴で、葉→枝→果実に広がっていく

春は新梢の展葉期に発病して、夏秋はミカンハモグリガによる葉の食害や風による傷から感染します

かいよう病

昨年、これにかなりやられて、多くのみかんがジュース加工用として安値で引き取られていきました

防除:ICボルドー66D(3月初旬に現病斑を封じ込め、5月展葉期の感染防止)

強アルカリ性なので、ほかの農薬とほとんど混用できないんです!

ICボルドー

https://www.greenjapan.co.jp/icbordo_ds.htm

ボルドー液は、殺菌剤としてフランスで誕生してから約 120年の歴史をもつ農薬です

病原菌に対する殺菌効果と、植物の病害抵抗性を強める二つの働きがあり、今日においても広範囲に使用されています

ICボルドーは新JAS法有機農産物に使用できる農薬であり、収穫前日数や回数の制限もなく、環境にやさしいとされています

めっちゃ優秀な奴です!でも使いにくいorz

ただ新梢への薬害もある

混用されている石灰により、新梢に対して薬害が発生するので展着剤アビオンEが必要と教わりました

就農時からお世話になっているM氏のご経験から助言を頂きました

負の経験を共有して下さるのは、本当に有難いです

 

考察:ボルドーが厄介

ボルドーは強アルカリのため、ほかの農薬と混用がほとんどできません

また、その前に施用した農薬の残効を消してしまうこと

営農指導員 I氏と相談した結果、

  • かいよう病多発園:5月20日頃にコルトのみ、5月末にICボルドー66D
  • かいよう病なし園:5月20日頃にコルト&ジマンダイセン

としました

いろんな方から、「え?! ダイセン入れないの??? 黒点病大丈夫????」とご指摘を頂きます

I氏からの指導内容と研究報告から以下の要点を抽出しました

  • 3月にボルドーを2回しっかり施用しておくこと
  • 黒点病は極早生みかん・早生みかんに多いという特徴がある(晩生より玉太りが早い?)
  • 幼果の時は生来のワックスを纏っているの感染しにくい
  • かいよう病多発園で栽培しているのは晩生みかん
  • ジマンダイセンの替りにICボルドー施用にて黒点病を抑えられる研究報告あり
  • 殺虫剤(コルト)の効果を10日間は確保したい
  • ジマンダイセンは年間の施用回数が決まっているので、ボルドーで無駄にしたくない

過密な防除スケジュールの中で、これまでの経験から導き出したI氏の指導に則って乗り越えたいと考えています

結果は、この秋・冬です

かいよう病を抑え込み、黒点病の被害も最小に抑えられればと祈るのみです

 

防除暦には多くの薬剤名が並びますが、適期に厳選して、手散布で必要最小限量の散布に努めております

 

長文で乱文ですが、最後までご覧頂き誠に有難うございました

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