大人の磯浴び – 晩酌目当てのがんがら・タコ!最高の海の恵み

和歌山県海南市下津町でみかん農家を営む私にとって、毎年恒例の友人との磯遊びは、一年の中でも特別な時間です。農作業に追われる日々の中で、この磯浴びの時間は心身をリフレッシュさせてくれる貴重な機会となっています。

友人との再会

この磯遊びに参加するのは、私が農業を始める前の前職で知り合った友人。同じように人生の転機を迎え、それぞれがセカンドキャリアを歩んでいる仲間である。年に一度のこの集まりでは、前職の業界情報について語り合ったり、現在の仕事について報告し合ったりする。一見他愛もない会話に思えるかもしれないが、同じような境遇を経験した者同士だからこそ分かち合える思いがある。

農業という新しい道を選んだ私にとって、彼らは何物にも代えがたい存在だ。みかん農家としての日々の喜びや苦労を理解してくれる友人がいることは、この仕事を続けていく上で大きな励みとなっている。

磯遊びの魅力

我々の磯遊びの目的は明確です。新鮮な貝類を採取し、それを晩酌のお供にすることである。下津町の海岸は、豊富な海の幸に恵まれた絶好の磯遊びスポットだ。潮が引いた磯では、様々な貝類や小さな海の生き物たちと出会うことができる。

大人になってからの磯遊びは、子供の頃とは違った楽しみがある。ただ生き物を捕まえるだけでなく、その日の夕食や酒の肴として活用することを考えながら採取する。子供の頃は毎日海に遊びにって真っ黒になってましたね。親父から酒のアテを取って来いと言われたけどそっちのけで魚を追いかけてました。

今年の収穫

今年の磯遊びでは、地元で「がんがら」と呼ばれる巻貝を中心に、流れ子、そして小さなタコも採ることができた。特にタコが採れたのは今年の大きな収穫だった。友人たちと一緒に岩場を探索し、隠れている貝類を見つけ出す作業は、まるで宝探しのようで童心に帰る思いがする。

がんがらは下津町の磯では比較的よく見つけることができる巻貝で、地元の人々にとっては馴染み深い海の幸だ。岩の隙間や岩をひっくり返して、見つけるには少しコツが必要だが、慣れてくると効率よく採取することができる。

ながれこも今回の大きな収穫の一つ。小さいながらも独特の食感と味わいがあり、調理次第で素晴らしい一品になる。

がんがら

がんがらの極意 – 茹で方のポイント

がんがらの調理で最も重要なのは茹で方だ。多くの人が失敗しがちなポイントがあるので、ここで私なりの茹で方を紹介したい。

まず、がんがらは刺激を与えると巻貝の奥の方に引っ込んでしまう習性がある。そのままの状態で茹でてしまうと、身が奥に入り込んでしまい、針で取り出すのが非常に困難になる。これを防ぐのが私の茹で方の最大のポイントだ。

手順は以下の通りである:

  1. 下準備: 貝同士をこすり合わせて表面の汚れを丁寧に落とす。この作業を怠ると、茹で上がった時に磯臭さが残ってしまう。
  2. 砂抜き: 塩水につけて砂抜きを行う。時間をかけてしっかりと砂を吐かせることで、食べる時の食感が格段に良くなる。
  3. 茹で方の極意: 鍋に貝を入れ、塩水を注ぐ。ここからが重要なポイントだ。すぐに火をつけるのではなく、コンロに置いてからしばらく放置する。この間に貝が油断して動こうとし始める。蓋が緩むタイミングを見計らい、その時に弱火で徐々に加熱を始める。

この方法により、貝が引っ込む前に茹で上がり、針で簡単に身を取り出すことができる。塩茹でしたがんがらを針で取り出す作業は、一見面倒に思えるかもしれないが、この手間こそが何とも言えない悦びなのだ。一つ一つ丁寧に取り出す時間が、日常の忙しさから解放された贅沢な時間に感じられる。

取りやすさはゆで方次第!がんがらは針で渦の中心に真っすぐ刺してテコのように動かす。

タコの絶品調理法

今年採れた小さなタコは、半生の状態に茹でてごま油と塩で味付けした。これが驚くほど美味しい。タコは茹ですぎると固くなってしまうため、半生程度の絶妙な火加減で調理することが重要だ。

新鮮なタコの甘みとごま油の香り、そして塩のシンプルな味付けが絶妙にマッチして、日本酒との相性も抜群だった。友人たちも「これは絶品だ」と絶賛してくれた。

小さいタコでしたが、半生ぐらいのゆで加減が最高!ごま油と塩で!

流れ子の美味しい食べ方

流れ子(トコブシ)は出汁醤油で炊くのが我が家の定番だ。高級食材ですよね!歯ごたえがあり、噛むほどに海の風味が口の中に広がる。炊き込む時間を調整することで、食感を自在にコントロールできる。少し長めに炊けば柔らかく、短時間なら歯ごたえを残すことができる。

ながれこの持つ自然な甘みと出汁の旨味が見事に調和して、何とも言えない美味しさを生み出している。

妻の楽しみ

この磯遊びは、私だけでなく妻にとっても毎年の楽しみとなっている。菜園の枝豆やトウモロコシを食卓に並べて、自給自足の食卓を囲むのはなんとも満足感のある時間です。

自然との共生

みかん農家として日々土と向き合う私にとって、海での磯遊びは異なる自然との接点を提供してくれる。山の恵みであるみかんと、海の恵みである貝類。どちらも自然からの贈り物だが、それぞれに異なる魅力がある。

山が健康でなければ海は豊かにならない。川の水が汚染されれば海の生態系が壊れる。みかん栽培を通じて環境に配慮した営農の重要性を改めて実感させられます。

終わりに

大人の磯浴びは、単なる遊びを超えた深い意味を持っている。友人との絆を深め、自然の恵みに感謝し、日常とは異なる時間を過ごすことで心身をリフレッシュする。そして何より、自分たちで採った海の幸を味わう喜びは、何物にも代えがたい。

来年もまた、同じ仲間と磯遊びを楽しみたい。新しい発見があるかもしれないし、今年以上の収穫があるかもしれない。そんな期待を胸に、また一年間のみかん農家としての仕事に励んでいこうと思う。

下津町の美しい海と豊かな自然に感謝しながら、この素晴らしい伝統を続けていきたい。大人の磯浴びは、私たちにとって欠かせない年中行事なのである。

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