山を潤すあの仕事がやってきた

雨が降らん!これはやばい!!あの仕事が来る!!?

和歌山県海南市下津町では、7月16日に20mm程度の降ってから雨が降っていません

連日の35℃を超える真夏日、夜間でも25℃を下回らない熱帯夜が続きました

その上、8月中は雨予報がない長期予報!

8月に入り改良区の理事会が開かれ、数年ぶりに地区全体での灌水が行われることになりました

もうトラブルだらけで、8月6日の試運転から8月15日まで連日(13日だけ休み)で自分の畑に行く間もなく出動してました

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山畑を潤す灌水

役員・実働部隊は大忙し

「方地区改良区」という組織が地域の灌水事業を行っていて、私は2023年度から役員に入っています

雨が定期的に降るようであれば、地域で行うことはありません

ですが毎年7月初旬に、準備のために通水して、異常を確認・修理します

私と同じ50歳を超える設備なので、経年劣化による故障が散発しています

3工区長Y氏と私の2名の役員、相談役のM氏、以上3名は大変な時期に入ります

山頂のタンクから水を流す圧で散水します

高通山の山頂にあるタンクで、和歌山市、マリーナシティからも確認できると思います

高通山の貯水タンク

この場所に今年何回上ったことでしょう

恐らくここで、マダニにやられました

正面右の尾根にタンクがあります 。正面の山には網の様に配管が巡っています

倉庫からの遠景ですが、この写真の10倍以上の山の斜面に配管が巡らされて、山畑を潤す事業です

中央の右手、奥の尾根にタンクがあり、あそこからの高低差を利用して配管から立つスプリンクラーから散水していきます

 

灌水設備の修理作業

水を流し始めると、「うちの畑、水が飛んでないぞ!」「谷にめっちゃ水流れてるぞ!」「家に水がかかって水浸しや!」などなど、色んな苦情、トラブルが起きます

主な修理作業は

  • スプリンクラーの詰まり ・・・ 最も多い配管の錆などが流れて詰まる故障
  • 配管の劣化による裂け ・・・ 鉄管の経年劣化、作業中の損傷によるもの
  • 地中配管の裂け ・・・ 地滑り、経年劣化、作業中の損傷によるもの

50年経ってますからね、そりゃ毎年何かしら起きますわ

 

今年最大のトラブル:ストレーナーの詰まり

試運転では水が流れることが確認されたのですが、2日後全く水が流れない事件が起こりました

なぜだ?全く理由がわかりません

3工区に所属しているのですが、3工区の先輩方もわかりません

1工区、2工区のメンテナンス工程を確認

似たようなトラブルを度々経験する別の工区の作業を確認すると、ストレーナー(ごみ除去フィルター)を定期的に掃除しているとのこと

タンクに貯める水は、川、池や一時貯水プールから来ています

散水するための制御弁などは精密なため、細かいごみを除去してから送水します

3工区の先輩が知らないということは、30年近く、全く掃除をしていなかったようです

タンクから送水する水のゴミをここでブロック

開けようにもボルトが固着して外れにくい

開けたら、中のフィルターは目詰まりがひどい状況でした

スチールブラシとタオルでしっかり綺麗にして、正常な状態にすることができました

 

スプリンクラーの詰まり

最も多い故障がスプリンクラーの詰まりです

配管の錆や、途中の配管を外して作業した際の小石まど、あとは配管を継いだ時と思われる樹脂ゴミが詰まります

山畑のため、重ねてスプリンクラーのヘッドは高さを求めるため、高所作業となります

これが本当に怖いんです

左:ヘッドを外す作業、右上:ヘッドを外してメンテナンス、右下詰まっていた錆などのゴミ

 

配管劣化による裂け

地上配管の裂け

スプリンクラーの立ち上がり配管は鉄製のため、錆て穴が開くことがあります

また石垣を登る配管は塩ビ製の場合があり、劣化やモノラックが当たって裂けたりします

地上部の場合は、ありえない場所から水煙が上がるのでよく分かります

ありえないところから水煙が上がっています
配管が避けて噴水状態

恐らく経年劣化と若干の地滑りで配管にストレスがかかっていたようです

炙って曲げたりと、先輩のスキルの高さに見惚れるばかりです

 

わかりにくい地中配管の裂けや破断

スプリンクラーの圧が弱いと地中部での破断を推測します

そうなると、どこやねん??と探し回り、穴を掘る作業が出てきます

これが一番の重労働ですし、1カ所に2時間かかる場合があります

地中で破断した配水パイプ

 

電磁弁の修理

水圧を利かせるために、細かくブロックに分けています

各ブロックの要所には電磁弁が設置されていて、操作盤で行えます

なんてレトロな機械なんでしょう!

電磁弁の操作室

電磁弁も劣化してきているので手動操作の弁もあります

電磁弁の修理ができる先輩農家は、神!

今回、1カ所急にそうできなくなった電磁弁がありました

大大大先輩級の先輩農家に依頼して修理をして頂きました

簡単な配線の様に見えますが、私は触る自信がありません

本当に神の所業に見えました!!

先輩農家による電磁弁の修理

 

農家は何でも自分で直せる技の匠たち

約10日間、早朝から夕方まで修理の日々で本当に疲れました

先輩方と一緒に仕事をして、修理の技術を習得できたのは良かったです

こんな機会はめったにないので、いい経験をしました

8月15日に恵みの雨が降りました

20mmの降雨で灌水事業は終了で始まりましたが、下津町では60mmの降雨があり終了となりました

これからは自園の栽培管理に集中できます

9月下旬にはもう収穫が始まります

楽しみで、忙しい日々がまた始まります!!

 

長文ですが、最後までご覧頂き、誠に有難うございました

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