春の訪れとともに、和歌山県下津町の私たちのみかん園では、古くなった木の処分と新しい苗木への更新作業を行っています。この記事では、みかん苗木の植え付け手順をご紹介します。柑橘は手間もかからないので庭に植えてみてはいかがでしょうか。
段々畑で、たくさんの苗木を一気に植えるので、ちょっと手抜きしているので理想的なお手本とは言えません。でも大事なポイントを押さえれば、十分に育ちます!
1. 植穴の準備
まず始めに、苗木を植えるための穴を掘ります。そんなに大きな穴は掘りません。中型のショベルで惚れる程度です。あとで踏み固めるので、直径は一足分よりやや大きいくらい。苗木の根の深さはショベルで救う部分の深さ程度です。掘り起こした土は脇に山にしておきます。
周囲の雑草や石などは入らないようにしておきます。

2. 苗木の根の準備と配置
苗木の根についた土を丁寧に落とします。この時少々根が切れても問題ありません。(土を落とす方が根が伸長します。また病気が着いているかもしれないので落とします。) 真下に伸びる太い根があれば切ります。横に伸びている根の先が傷んでそうであれば、少し切り戻してあげます。
深さを決めます。苗木は接ぎ木をしていますので、台木が地面から出るように深さを調整します。スコップを穴の上に配置するとわかりやすく、渡した柄よりも上に抱きが来るようにします。
植える向きを決めます。背骨となる主枝を2~3本仕立るのですが、恐らく強い枝が3本ほど見いだせると思います。みかんの苗木の場合、垂直に強い枝を西もしくは北に配置するのがポイントです。これは、西・北向きの枝は横に寝て、東・南向きの枝は立ち上がる習性があるためです。

3. 植え付け資材の投入
植え穴に以下の素材を投入します
- カップ半分のケイ酸素材を苗木の根にまぶしながら穴に入れます
- 同様にカップ半分の水分保持用ポリマーを投入し、植穴内でよく混ぜます
- 掘り起こした土にも、カップ半分のケイ酸素材とポリマーをかけておきます
これらの素材は、根の成長を促進し、適切な水分バランスを保つのに役立ちます。この2剤は営農的な資材なので一般的ではないですね。
ケイ酸素材とは石の粉なのですが、発根を促してくれて、樹体強化につながるケイ酸を多く含んでいる資材です。新しい土や堆肥を投入できればそれで対応できます。
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ポリマー素材はサンフレッシュと言う商品名で、おむつの給水ポリマーのようなものです。水やりがいつでもできる場所であれば不要です。

4. 苗木の配置と埋め戻し
苗木を配置したら、穴の周りを削りながら細かい土を作り、根に隙間ができないように丁寧に土をかぶせていきます。根と土の間に空気の層ができると根の成長に悪影響を及ぼすため、この作業は特に慎重に行います。
かかとで踏むことが大事です。ブチブチッと根が切れますが気にしません。また元気な根が生えてきます!

5. 土の固定
かかとで土を押し、隙間を埋めていきます。手を離しても苗木が倒れなければ十分な固定ができています。この確認は非常に重要です。

6. 土の投入と水受け用のカルデラ作り
掘り起こした土と素材を軽く混ぜてから穴に投入し、根が土と密着するように踏んで固めます。このとき、土の高さは株元の接ぎ木部分が見えるようにしておきます。

植穴よりも広い範囲を円状にショベルを入れて、カルデラ(噴火口)のような形にします。これにより、水やりをした際に水が逃げずに苗木の周りに溜まるようになります。
8. 支柱の設置
苗木の枝がV字状になっている部分に支柱を設置します。支柱は風下から苗木を支えるように立て、V字の下部と支柱を8の字誘引で紐で固定します。この支柱が苗木を風から守ってくれて根が活着します。

9. 剪定
2~3本の主枝を立てると、樹形が整って栽培しやすくなります。主枝候補の先端の秋芽が出ている瘤の下で、外芽の部分を剪定します。立派な秋芽が出ています(親指の部分)が、中指のところにある瘤の下で切り返します。場所は外芽(樹の中心から見て外側)の部分の上で切ります。

10. 施肥と水やり
最後に化成肥料を施し、5〜10リットルの水を与えます。その後、10日程度雨が降らない場合は十分な水を与え続けましょう。秋までは月に一度、ふたつかみ程度の化成肥料を施肥します。

11. 病害虫対策
苗木の健全な成長のため、アブラムシなどの害虫がつかないように適切な防除を行います。
動画がわかりやすいのですが、一人での営農のため、また編集が素人でできません
農協さんの動画を掲載するので参考にしてください
https://www.youtube.com/watch?v=aaaSn-nDfZo
この手順を丁寧に行うことで、苗木の定着率が高まり、健全な成長を促進できます。みかん栽培は長期的な視点が必要な農業です。適切な植え付けからはじまる丁寧な管理が、将来の豊かな収穫につながります。
私たちの下津町のみかん園では、代々受け継がれてきた技術と最新の農業知識を組み合わせて、美味しいみかん作りに励んでいます。これからも季節ごとの作業や工夫をブログでお伝えしていきますので、ぜひご覧ください。